十湖奇行逸話 5 鯉一足の押買い
明治維新の頃には、いわゆる袖の下で成功を期するといふやうな弊害が、今日よりも多かった当時、村の戸長の職に在た十湖は或る日鯉一尾を某顕官のところへ持参すると、顕官大いに怒って「賄賂などは堅く禁じられてあるではないか、此の贈物は絶対に受けることはできぬ」とはねつけた。
それで十湖は「受けることができなければ買え」と迫ったので面喰つた顕官は鯉の代金を払うと十湖は呵々と大笑「チト値が安過ぎたわい」の放語に顕官唖然。
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