十湖奇行逸話15 年始客を驚かす
翁は自ら貧中王と称し常に清貧に甘んじ常に貧なれば貧なしとて人の世の富を羨まず「貧にかち暑さにかちて今朝の秋」の句をよく人に示めされ一向貧窮を意にせられなかった、金婚式の自賀に祝莚を張った翁は大正五年一月元旦二人分の棺桶や経帖子其他一切の死装束から葬具を恭しく座敷に飾り翁夫婦は記念写真三浦写真師に命じ「棺桶を後ろに受ける御慶哉」の一句を吟じて年始の客を驚かした。
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