十湖奇行逸話36 無一物ぷり
大正十二年畿内方面の有志より漫遊を懇請せられ旅装を調べられる折加賀の金澤の有志からも翁の来遊を促かして八十円の放費を送ってきたのでそれで門人を従へ大和方面へ向たがいつも金に頓着せぬ者の事とて忽まち浪費を遣り果たし翁を門人がまいたか門人が翁を置去りにしたかは判らないが翁はあればありたけ財布に残さないといふ金放れの奇麗に門人は行く先々で旅費の工面に弱らされたと。
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