俳人十湖讃歌 第73回 郡長その後(4)
同年は国会開会の前年で全国的に自由民権運動も熱を帯び、十湖は政界に身を投じ活動しようと野心を燃えたぎらせていた。
水仙や雪の中より花ひとつ
ところが翌23年1月になり期するところがあって遠陽大同倶楽部を脱党して東京大同倶楽部加盟し、政界の荒波に身を置き政談演説に東奔西走した。
地元へ戻ってみると政治どころの騒ぎではない。
被災者たちが困窮している実態を目の当たりにして十湖は松島授三郎や渡瀬友三郎、平井重蔵らと共に有志者より災害寄付を募り昨年の天竜川堤防の決壊で被害を被った難民を支援した。
同月18日政治活動中集会条例違反で罰金10円を被るはめになり、十湖の活動の一部が政治活動とみなされたこともあり、いかに様々なところで活動が活発であったことを物語っている。
政治活動の傍ら、十湖は追善句会を開催など、再び多忙な日々を暮らす。43歳になっていた。
春寒し汲んで手向ける水のいろ
諸人を集めて今日の花供養
各地に句碑を建立し追善句集を発行しては俳句の普及を目指していた。
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