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2023年3月24日 (金)

鶴氅のゆくえー「尊徳の遺品」顛末記(9)

 二人が話に夢中になって歩いているうちに威厳のある建物の門に辿り着いた。
  入口の正面にはむかって右に報徳門、左側に経済門と刻まれている。
 翔太は自分のポケットから二人分の小銭を出した。
 入場料を払って敷地内へ入ると、ガイドらしき男性が近づいてきた。
 中を案内するからといって二人を建物へ誘導していく。
 十年以上前に改築したというが、未だに新築そのものの輝きを見せていた。
 ガイドはこちらのことなどお構いなく手元のパンフに沿って説明していく。
 さつきにはどうでもいいことだった。
 恐る恐る自分の知りたいことを聞いてみようかと思っていた。
「あのすみません。ちょっと聞きたいことがあるんですが」
「どうぞ私にわかることでしたらお答えしますよ」
 ガイドは愛想よくさつきの顔を見つめて応えた。
「鶴氅をご存知ですか。これが今どこにあるのか知りたいんです」
 さつきは聞きたいことだけを単刀直入にガイドに質問した。
「カクショウですか。どんな字を書くのですか」
「カクは鶴の字です。ショウの字は難しいのでひらがなです」
「私にはわかりませんね。事務所に理事の方がいますので、ちょっと呼んできますのでお待ちください」
 ガイドはそう云い残して事務所のほうに走り去った。
 さつきが聞きたいことというのは鶴氅のことだった。


 (大日本報徳社のパンフレット)

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