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2024年3月25日 (月)

俳人十湖讃歌 第160回 姨捨紀行(13)

 待っていたかのように、同行の一人最年少の冬至庵閑里がはしゃぎ出した。
「どちらへ行きますか。行くなら温泉が良いなあ」
「上山田温泉はどうだ。二年前に開湯したばかりで新しい。皆はどうする」
 十湖は大木随処、柳園成佳にも意向を訊ねた。 
「今、この地域は米の収穫時期で忙しいでしょう。連歌を巻くといっても客が来るかどうか。評判の曲水館なら多少の客は見込めるかもしれませんが」
 随処が心配そうに応えた。
「それなら、曲水館を目指すとするか。閑里はいいな」
「温泉で宴会ではないのですか。玉には連歌なしでというわけにはいきませんか」
 名指しされた閑里は少し怪訝そうな顔で、それでもしぶしぶ承知した。
 二晩を上山田温泉で湯舟につかり旅の疲れを養う。
 その夜、十湖にとって久しぶりに気分を変えての発句である。

   寝心も初冬ぶりや温泉のほとり
   宿の湯に延ばす命や千代の秋

 このとき短冊に認めて後日欽采に贈った。

Togakushi1
(戸隠池)

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