名人の名言(5) 木付けつくり仕立て
名人は木付けの解説の冒頭こういっています。
「木付けはあまり望まぬところである。すなわち「キク」は、日本特有の植物で、しかも国華である。この「キク」を木につけ、花を咲かせることは不自然であると同時に、鑑賞する人の眼をごまかし、殊に大きな木に幹も見せず、こんな大きな幹に花が咲いていると見せることが精神的に面白くない。ただし営利を目的とした見世物なればいざしらず、植物から生じた芸術作品として展覧会や展示会に展示する趣味の「キク」として愛培者にお勧めしたくない。ところが、全国いたるところの展覧会や展示会には盛んに展示されてあるから、参考に記述しておく次第である。」
とはいえ仕立ての解説を論ずると八項目にわたって進めています。
①②③④⑤短幹作り ⑥⑦双幹作り ⑧二カ所作り
短幹作りは右作りと左作りを区分して説明を加えており、共通するのは付ける木の形によって形作する姿態も様々となり、石に付けるよりは技術的に苦労が少ないといいます。
同時に木に付けることは不自然だが、素人受けをするので面白い形のものがあれば余興のつもりで仕立てたとも云っています。
下記の作品では、根元の立ち上がる幹を大きく、摘芯により一の枝を右斜め前に強く伸ばし、二の枝が木の頭にかぶり、三の枝は裏表を利用した形だと解説しています。
①から⑤までの解説はほぼ共通の内容ですが、木の頂点には必ず先へ伸びた幹があり「キク」は枝のみがその上をかぶり、根元は木の頂点より一段下から鉢まで伸びています。
⑥⑦は双幹であるだけで、仕立て方は前作と変わりありません。
⑧は同じ木に2本の苗を別々に仕立てたもので寄せ植えだと云った方が分かりやすいでしょう。
名人は余興のつもりで仕立てたといいますので、木にあった形作をしたのでしょうが「キク盆栽の楽しみの神髄は、まさに、ここにあるのではと個人的には思うのです。
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