13:01発大井川鉄道 駿河徳山駅
大井川鉄道 駿河徳山駅周辺の木々は、黄葉がひときわ眩しいくらい輝き、鄙びた駅舎を盛り上げている。それ以上に賑わいを感じさせるのは、13時01分発同駅の上下ホームである。川根の山歩きを堪能したこの日、せっかくの機会だから、駅舎を記念に撮っていこうと構内へ立ち寄ったところ、駅員に咎められ、入場券の購入を勧められた。改札近くを見れば、ささやかにこの旨が掲示されていた。
写真撮影は駅構内だけのつもりでいたのだが、入場券購入後、駅員と話したところまもなくSLが入ってくるという。時刻表を見ると、同時刻に金谷行きも入ってくる。13時01分は上下のホームに車両が入ってくるのだ。
それも一方はSLだ。
弾む思いでこの時間を待つ。
後10分程度。決して長い待ち時間ではない。
踏み切りの遮断機が降り最初に入ってきたのは、普通電車「金谷行き」。
近鉄で活躍していた電車だが、ローカル線らしい車両だ。
ホームに滑り込み自動ドアが開く。
数人の乗降客はいるものの誰も降りようとする者はいない。
運転手だは撮影する自分をじっと見つめているようだ。
「千頭行き」SLかわね号の到着を待っている。
ほんの数分、静寂が続く。
ホームの先に視線を移すと、線路伝いに踏み切りを越え、垣根越しに蒸気機関車の吐く黒煙が見えてくる。
ばく進はあっと言う間にホームで停止した。
SLは満員の乗客を乗せ一息ついている。
乗降客はなく蒸気を吐き出す音がホームに流れ、このローカル駅の秋をドラマチックに一段と演出させてくれる。
乗客の視線は自分に注いでいるが心地よい。
カメラのシャッターはとどまることを知らず、切り続ける。
つかの間のホーム滞在を終え、SLが再び煙を吐き千頭方面へ向けて発車する。
そして、金谷行き普通電車は何事もなかったように、静かにホームを後にしていく。
撮り終えて、大きなため息をホームでついた。
安堵と撮り終えた満足感と併せ持つため息を・・・
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