赤い月
すでにあれから十日以上となる。
時間の経過は過ぎた出来事を、なかったかのように忘れ去っていく。
十月八日の夕方から夜半にかけて見られた皆既月食もその例に洩れない。
自分にとっては衝撃的な赤い月との遭遇だった。
皆既月食とは満月が欠けていくように見える「月食」が月全体に及ぶ天文現象のことで、太陽による地球の影が月にかかっていくことによって、月が端から欠けていき月全体が地球の影に入るものだという。
この日は部分食が始まる十八時十四分から部分食が終わる二十一時三十四分までの三時間二十分間が観測時間であり、長丁場の撮影時間を覚悟した。
早速、東の空を仰ぐと雲の間に月の姿を発見し、やがて不気味な赤銅色の満月が地球の影の中を通り抜けていく様子がよくわかった。
撮影にあたっては自宅の二階に三脚をセットし、部分月食から皆既食そして再び部分食に変化していく月を数秒ごとに撮り続けた。
写真は結局三カットにまとめ、自宅周辺の街並みと合成させた。
一人東の空を仰ぐ時の経過は、赤い月の満ち欠けに魅了された貴重な体験となった。
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