他者であること
最近、歴史小説家の宮城谷昌光氏にハマっている。氏の歴史小説のうち自分の地域に関する作品を読み始めて以来、氏の名がつくものを乱読している。
先日、図書館で著書を探していたところ、エッセイの棚に彼の名を見つけた。
書名は「他者が他者であること」とあり、哲学的なタイトルだと少しばかり難しいかなと躊躇した。
それでもせっかくだから彼の作品の注釈にでもなっているのだろうから目を通しておこうとページを繰った。歴史小説家でありながら歴史小説は嫌いだったことや、著書の裏話など、どれも興味深い内容だった。
読み進むうちページ半ばまできたら、自らの趣味の話になった。かつて作家になる前は知る人ぞ知るアマチュヤカメラマンで日本カメラの月例応募の常連だった経歴を持っている。
「カメラ」の章が70ページにも及ぶ。金賞を取るほどの腕前で、その努力の軌跡が語られている。
なかでも月例始末記は興味をそそる。月例作品作りにあの手この手を駆使しセロテープを使用することを思いつく。結果は見事落選。次なるはステンレスを使う。だがこれも見事に挫折。これをきっかけに月例から離れたという。フォトコンテストに挑戦する人にはぜひ愛読を進めたい一冊である。
巻末に初出一覧があった。そこには日本カメラ1992年1月号から12月号と記されていた。
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