新居宿
低気圧の通過で前日来の雨の荒天が、西風の強風に変わった。
先般は愛知県の二川宿を歩いていたのに、今日は静岡県の新居宿にいる。
別に宿場めぐりをしているわけではない。
被写体を探し求めながら辿り着いた町である。
駅を出ると種田山頭火の句碑に迎えられて気を良くした。
水のまんなかの道がまっすぐ
昭和14年に遠州路を旅したときのものだという。
新居宿は広く「関所」のある町で知れている。
駅を出て右にまっすぐ500メートルの距離にある関所では地元のイベント「旅籠祭り」の真っ最中でひと際賑やかである。
おかげで関所をはじめ町内の有料施設の参観は無料となっているので、イベント主催者から頂いたマップを参考に町内を散策した。
やはり、知っているようで知らないことが多い。
二川では江戸時代の旅籠を見学し、当時の参勤交代のありさまを知ることになったが、ここでは庶民の旅の様子と関所とのかかわりを学んだのだ。
次は旅籠紀伊国屋の資料館に続いて小松楼を巡る。
町内にあるうなぎ屋の看板がやけに目につく。既に昼食時間を過ぎていた。
玉にはうなぎも食いたいし、それなら産地で食べるのが一番いい。ただ懐具合と相談である。
祭り会場でうなぎの白焼きを売っていたので、ひとりで食べる金額で白焼きなら二人分買うことができる。
施設めぐりの前に思い直して会場へ引き返し、うなぎを手に入れた。
いよいよ本腰で施設見学と被写体探しだ。
それにしてはカメラバックが重い。写真意欲が削がれてしまいそうだと買ったことを少しばかり後悔した。
新居関所は、既に機能は失われている一方、小松楼は町内を一歩中に入った界隈にあり昭和初期まで歓楽街として栄えた。最盛期には芸者置屋が11軒、小松楼はそのなかのひとつで、大正初め頃置屋兼小料理屋として開業したという。
この日、かつての面影を残しながら芸者街の象徴として残されている「小松楼」に唯一私のカメラの眼は絞られた。
帰路その満足感とは裏腹に、朝からの強風は治まらず電車は8分の遅れを告げた。同時に女房の顔が思い浮かび「夕餉の支度は既にできているのよ。買い物するなら事前に云って頂戴」との怒りの声が聞こえてきた。
本日のうなぎの代金は自分持ちであることはいうまでもないのに…。
(小松楼にて)
にほんブログ村
| 固定リンク | 0
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 笠井まつりが開かれた(2023.08.18)
- 桜の開花を前に谷汲踊を想う(2023.03.15)
- 冬紅葉の浜松城公園(2022.12.04)
- 初夏の兆し遠州森町(2022.05.26)
「写真」カテゴリの記事
- 木陰で戯れるカワセミ(2023.05.21)
- 桜駅(2023.03.30)
- おどる胞子たち(2023.01.31)
- 鯉が飛んだ(2022.12.01)
- 神の中に梅の花(2022.03.01)
コメント