ショウ―ズカばばあを撮る
三途の川のあたりで亡者の着物をはぎ取る婆さんのことで、奪衣婆ともいい、葬頭河婆と書き「ショウ―ズカばばあ」である。
この婆の像が浜北区堀谷の寺に安置されている。木喰仏十体とともに自由に拝観ができる。
私がここに至った経緯は、地元の写真家の刊行物を調べていた時の事、写真家故原田康次氏「木喰」写真集を目にしたことがきっかけであった。
原田氏は本の中でこう書いている。
――片膝を立てた葬頭河婆の老いてなお、ふくよかな女体。掛けた衣から覗く凄惨な色香に私は思わずシャッターを切っていた。
この言葉に触発され、早速、安置先である浜北区の徳泉寺へ向かった。
同寺は臨済宗方広寺派に属し、現在は無人である。この地に江戸末期、木喰(もくじき)五行上人が83歳の時に立ち寄り、刻んだ像「十王と葬頭河婆」が残されているのだ。
木喰上人作の像は「木喰仏」と総称され、屈託のない笑顔が特徴で、十王は紛れもない木喰の作とされている。
そしてもう一体葬頭河婆の像は仏ではないのに地獄の笑いを見せている。
いずれも本堂脇の保存施設内で安置されている。
帰宅後はなぜか妙なものに憑りつかれたような気がして大人しくしていたが、堀谷の里の彼岸花がちらつき、ショウ―ズカばばあを思い出していた。
(下記写真は「木喰原田康二写真集」より)
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