路傍の時計
掛川城址跡を巡っていたら、ふと気になる光景に出合う。
地域の方には馴染のものだろうが、通りすがりの旅人にはさっぱり意味が分からないということもある。
これはただの裏道の分岐点、どういうわけか時計がこちらを見つめている。
時間は正しい。しかし、ここに存在する理由とは、何のための時計だろうかと思いを廻らした。
時計の右にはごみ置き場となっている。
ならばごみ出しの時間を間違えないように時計で暗示するのか?
いやそれとも電柱に学童の絵が描かれているので、学校に遅刻しないよう時間を確認させるものなのか?
ほかに何を考えるのか?そう思わせるための仕掛けだったのか。
時計の針は既に正午を過ぎていた。住民に音で迷惑をかけないようお昼のサイレンは鳴らさないので、道を歩いている人はこれで時刻を知ってという意味なのか?
この先行き止まりとある。行き止まりが解除される時間を知らせるのか、でもその掲示はどこにもない。
私は時計が正午を過ぎているのを見て、空腹を覚えた。
急ぎ食堂を探す。
天は待っていたかのように黒雲で隠れ、土砂降りの雨をもたらした。
時計は雨が来ることを教えてはくれない。
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