« こどもの世界 | トップページ | コスモス残影 »

2016.10.27

林檎狩り

  まだあげ初めし前髪の
  林檎のもとに見えしとき
  前にさしたる花櫛の
  花ある君と思ひけり

  やさしく白き手をのべて
  林檎をわれにあたへしは
  薄紅の秋の実に
  人こひ初めしはじめなり
  
 島崎藤村「初恋」の一節だ。誰もがご存知の恋歌の詩である
 学生時代には独り言のように、この詩をつぶやいていたことがあった。
 林檎狩りに来て、これを思い出すなんてまんざら老いてもいないだろう。
 篭を持って目の前を行ったり来たりするのは、かつての花ある君。
 その隣では必死で孫娘が林檎狩りをしている。
 やがて、詩中の主役になる孫娘の成長を楽しみに、われは老いぼれていくのかなあ。Ringogari


にほんブログ村

| |

« こどもの世界 | トップページ | コスモス残影 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 林檎狩り:

« こどもの世界 | トップページ | コスモス残影 »