伝衛門さの金達磨(笠井町だるま市の由来)
昔、「伝衛門さ」という人がいました。
「伝衛門さ」は旅から旅へと渡り歩く旅商人でした。
旅の途中の縁日に山門の前に積まれた『だるま』を参詣に来た人々が先を争って買っている光景に出会いました。
『だるま』は最初に小さいのを買って、毎年だんだん大きいのに買い換える。
そうすれば福がどんどん膨らんで、ついには大願成就に至る。
「だから『だるま』を買った人は必ず毎年縁日には買い換えに来る。」という古老の話を聞いていました。
「伝衛門さ」の頭に江戸時代から続いている遠州笠井村の一月十日の観音様の縁日のことが浮かびました。
「そうだ!笠井観音の初市で『だるま』を売ってみよう。」
こうして今日まで毎年一月十日は浜松市東区笠井町の福来寺(通称:観音様)で十日市が開かれています。
今ではだるま市として地域の祭事のひとつになっていますが、ちょうど手元に今年売り出す金達磨の写真が届きましたのでご紹介します。
詳しくはだるま市保存会のぺーじでどうぞ。http://www4.tokai.or.jp/kasaidarumaichi/index.html
この話は言い伝えとはいえ史実に基づくものであり、「伝衛門さ」は人づてに聞いた『だるま』の産地、藤枝だるまの製作業者・長橋家より『だるま』を大量に仕入れて笠井の初市で売り始めました。(明治24年1月10日)
かご売りから始まった「だるま市」が笠井観音のご慈愛とご威光に守られた120年以上の伝統を持つ「だるま市」へと発展した由来でもあります。
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