松竹梅
正月三が日が過ぎると、おなかの廻りが少しばかり重たいので、腹減らしに近くの公園に足を運ぶ。
冬鳥の鳴き声に導かれ藪を突き進むと小さな社の前にたどり着く。
暮れに草刈りをしていないせいか眼下の町の風景も見降ろせない。
社は小ぶりであまり人が来ていない様子。
せっかく来たので神様にお参りすることに。
小銭を投げ入れれば賽銭箱の音だけで寂しいものだ。
手を合わせ祭壇をのぞき込むがガラスの反射で中の様子は見えない。
そのかわり扉の前に忘れ物なのか酒の小瓶が置かれているのに眼がいった。
どうでもいいことなのだが、つい余分なことを考えてしまった。
誰かが散歩に来て、ここで酒でも飲んで空き瓶を捨てていったのかと推理する。
だが、小瓶の蓋は開けられていないから飲んだわけではないのだ。
瓶は「お神酒」とラベルが付いている。
なるほどこれで神様に上げたわけだと合点がいった。
酒の銘柄は「松竹梅」。正月飾りにはふさわしい。
境内には温かい冬日が差し込んでいる。
社は誰も来ないどころか、大切にされていることを知った思いであった。
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