雨のランナー
まさか雨になるとは思っていなかったと言えば嘘になるが、日程が近づくにつれ、きっといい写真が撮れるのではとの確信に変わった。
その日早朝から雨模様で、シティマラソンはこの程度なら実施するだろう。
シャッターチャンスをものにするなら、雨中をひたむきに走る姿を撮りたい。
会場までは駅から10分程度のところ、傘をさして坂道を行く。
すぐに歩道は上り下りの人で混雑し、相互の傘がふれあい、かさ張る。
なんということか。下りの人は既に競技を終えて帰路についているのだ。行きが少なく帰り人が断然多い。
多勢に無勢で仕方なく車道に添って道を譲りあいながら上がっていく。
会場にたどり着くころには、張り詰めていた緊張と撮影欲が失せている。
やがて雨は小降りとなり撮影欲だけは復活したものの、昼前とあっては力が湧いてこない。
グラウンドではゴールを目指すランナーたちが、真剣な表情で足を跳ね上げている。
チャンスは今だ。撮れ!傘を差してのカメラがいかに重たかったことか。
帰路、撮った写真の再生を見ることはなかった。
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