すずめのお宿
突然、集団の鳥の鳴き声に振り返ると、天井が抜けたビニールハウスのほね組みに鳥がびっしり並んでいる。
立ち止まって観察すれば、すずめの群れのようだが、普段見かける鳥よりも大きく肥えているようである。
渡り鳥のジョウビタキの場合は、日本で越冬中に豊富な栄養を取り入れて太るのを見たことがあるが、すずめは渡り鳥ではない。
ハウスの中には草茫々の枯れ草ばかり。その周辺は耕され口に入るものは何もない。
そのせいか鳥にとっては冬空の下、唯一の食糧倉庫でもあるのだろうか。
すずめが肥え太る原因は、このためか。すすめにはえさ場となるお宿である事には間違いなかろう。
話は変わるが、作家の夏目漱石がロンドン滞在中、アパートから見える鳥の名を女中に訊ねたことがあった。
漱石はあまりにも大きいので鴨だと思っていたところ、「女中はすずめです」と応えた。
漱石はイギリスでは何もかも大きいのに、すずめまで大きいのかと知ってびっくりしたと明治34年1月の日記に記されている。
ならば写真の鳥はすずめであって、イギリスのすずめ同様大きく育ったのか。
いやそんなことはない。やはりムクドリではないのかともう一人の自分が反論する。
まあそんなことなどどうでもいい。
たわいもない冬の風物詩であった。
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