花吹雪のあとさき
咲いたと思ったらもう散り始める。
散ってもしばらくは花びらにも命があるようで、淡いピンク色が間もなく白地に変化していく。
それも儚いものだ。
雨風は道路上に花吹雪として散らし放題、そのうち風が花びらを道の淀みへと運んでいく。
今朝の状況を写真に収めていると、道路の反対側のベンチにしゃがんで様子を見ている婦人がいる。
彼女は買い物でも行くのか大きな布製の袋を抱きかかえているが、無視して花びらを撮る。
この付近で小一時間も夢中になり撮っていただろうか、いつの間にか彼女の姿はなかった。
いよいよ本日の目的地へと歩を進めた。
川の向こうにある桜の名所鳥羽山公園を目指す。
公園のサクラも今が満開、すでに散りかけていた木もちらほらあるが、充分に本日の初期の目的は達成できた。
その帰路、線路下の暗渠を抜けると、
「今朝、たくさん写真を撮っていたけど良いのがとれたかね」
突然、ベンチに座った婦人から声を掛けられた。
知り合いではないし、どこかで会ったという覚えはないが・・・
彼女はそのうち一気に素性を語り始めた。
やっとのことで思い出したのは、今朝、ベンチにしゃがんでいた背を丸くしてこちらを見ていた老婦人であった。
彼女は本日の花吹雪の精であったのか。
(撮影地:浜松市天竜区二俣町)
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