百舌鳥(鵙)のはや贄
日毎に春めいてきたようだ。
畑の一画に空地があり、枯れ草を退けたら膨れ上がったふきのとうを見つけた。
未だ梅の開花がないので寒さはぶり返すかもと思っていたら、今日は東部方面では雪だという。
全国的にもニュースでは雪景色を伝えている。
さて、先日の春めいた日に畑で天地返しをしていたら、思いもかけず百舌鳥1羽が支柱にに留まって尾羽根を振っていた。
こちらに用でもあるのかといぶかしげに耕作していると、ミミズが出てきた。
なるほど百舌鳥の狙いはこれか。
「ポイ」と畔に放ってやると、躊躇いもなく嘴で咥えて近くの枯れ枝の先へとりつく。
なんか百舌鳥と意気投合したようでもあり気を良くした。
また餌になりそうなものでも出てくれば、近くにいる限り与えてみようと耕作に精を出した。
今度は土の塊に冬眠中のカエルがいる。
これはきっと百舌鳥が喜びそうだ。
が、カエルも気持ちよく寝ているのに百舌鳥のいけにえにするのはかわいそうだと思い返した。
いつの間にか支柱に戻った百舌鳥の尾羽根は激しく揺れて、こちらに要求を促しているようだ。
しかたなく、食うも食わぬも百舌鳥しだいと反対側の畔に放り投げてやった。
あっという間に咥えるやいなや遠くの枯れ枝先を目指して飛び去っていった。
人鬼に鵙のはや贄とられけり 一茶