桜の秘密
界隈の東に流れる大川の堤には、先週あたりから桜が咲き始め日曜日にはほぼ満開となった。
地域ではイベントを企画し、地元の産物とお菓子を用意し花見の客をもてなすとか。
界隈の菓子店には花見に共感して桜餅の幟でも出ているのかと思ったら、それは「柏餅あります」である。
一瞬、桜餅ではないのかと見間違ったがそうではない。
この店のあんこは昔ながらの味で好みだ。そりゃあ桜餅よりあんこの量が多く含まれている。
しかし、せっかく桜が咲いたのだから桜の葉っぱの香りを餅の味とともに楽しみたい。
だって桜の木に茂っている葉っぱをもぎ取って嗅いだとて桜餅の葉の香りはしないのだ。
桜餅を食べると少し塩辛く餅の甘みと混ざり美味しく感じる。同時に微かな香りが心地よい。
ある学者先生が桜餅のおいしそうな香りの成分は「クマリン」という物質で、葉を塩漬けにすることで香りが漂ってくるという。
しかも塩漬けにしなくても葉を手でよく揉んで揉みくちゃにすることでも同じ香りが漂い始めるらしい。
葉を揉みくちゃにすることは葉を食べようとする虫の食害にも通じ、葉を傷つけた虫はクマリンの匂いで食べることができず退散する。
要するに桜の防御反応の結果、虫にかじられた傷口からの菌の侵入を防ぐと考えられている。
なるほど、葉そのものが香るというのではなくて、それなりの理由があったのだ。
きょうも菓子店には「かしわ餅」と染め抜いた緑色の幟がはためいている。
まだ売れ残っているのかと心配になるが、甘い物が好みの人間にはあんこがいっぱい入っている菓子がいい。
5月の節句にはまだ早いが、買って家族でご相伴にあずかろうかと思っている。
そうそういい忘れたが、桜餅に使われる葉はオオシマザクラの葉だという。
この葉が大きくて柔らかく強い香りを出すから、桜なら何でもいいわけではないらしい。
桜も秋には枯れ落ち、落ち葉が土に返り若葉が育つ糧になるが、その頃枯葉は虫の嫌がる香りを放って親木を虫から守っていると学者先生は公言する。
秋の雨あがりの日に枯れ落ちた桜の葉っぱ一枚拾い上げて香りを嗅いでみると、桜餅の香りがほのかに漂ってくるというが試してみたいものだ。

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