梅の季節になると、何時も決まって奥浜名湖の気賀にある長楽寺を訪れる。現在は浜松市の北区細江町になるのだが、気賀と呼ぶほうが郷愁がある。
同寺の階段を上がらずに左手奥の観音堂から梅のトンネルが伸びている。白梅のトンネルを抜ければ小高い丘があり、眼下に奥浜名湖が輝く光景が広がっている。
下ると奥の院の参道入口にあたり、十湖の句碑が迎えてくれる。苔むしたうえ一部朽ちたせいか読めない部分があるが、「目に耳にみちわたりけり寺の秋」建立は明治18年4月、十湖が松島吉平の名で引佐麁玉郡長を拝命して活躍していたころである。
長楽寺には小堀遠州作と伝えられる満天星(どうだん)の庭があり、秋の紅葉が美しいことでも知られている。
今年の開花状況はどうだろうか。いまごろ鵯、めじろの囀りと周囲から漂う梅の香に春を感じることができるはずだ。昨年、寺方の裏手にはいち早く河津桜が満開であった。